腹を使って生きるということ

 

山桜の残る萌黄わき立つ山を歩いてきました。

1000mに満たない山々でしたが、「山動く」という俳句の季語を思わせる情景です。数えきれないほどの萌黄色から新緑へと木々の色が移り変わるさまは、静かに感じるしかない時間でした。

今回は重たい荷物もなく気持ちよく歩けたのですが、無意識のうちに腹(下丹田)をつかって歩いていることにあらためて気づきました。もちろん上り下りで太ももやふくらはぎを使いますが、基本的には肩も脚もリラックスで腹のちからで歩いています。長年山歩きを続けていると、この腹の軌道で歩く方法が長時間歩くには体力を消耗しないすべのような気がします。

そういえば、声楽という一見悠長にみえる発声におけるからだの使い方もお腹を使っていることに驚きました。腹に吸い込んだ息をさらにお腹の力で下に押すと同時に喉を開けて音に変えていく仕組みは武道にも優るような側面もありますね。

DSC_4935

このようなことを考えていると、普通の日常生活では腹を使って動作をする機会がなくなってしまったように思います。都市部の生活においては、土を鍬で打つことも、薪を割ることも、両手にバケツを持つこともありません。かかとの低い靴でせめて駅の階段ぐらい歩いてみましょうか!というのが結論です。

散歩を心がける方は、起伏の多いルートを選ぶと内臓に良い刺激が入ります。内臓気血の循環は要です。さらに足の様々な筋肉を使うように日々心掛けると、より健康的な生活が持続すると思います。